アプリが全く新たな子供の興味の地平を拓いた話

この記事は、「子供」×「アプリ」+「α」 Advent Calendar 2015 - Adventarの12/19分の記事として書いたものです。

だいたい世の中で、幼児とスマホアプリの話題といえば、夢中になりすぎて困る、という話が大概ではないのかな、と思います。御多分に洩れずうちの子も、忙しくて構えない時など、没頭しすぎるところに問題点を感じることは少なからずあります。親心としては、ゲーム以外に関心を持たなくなるんじゃないか、とか心配になるのが正直なところではないでしょうか。


ところで、今年の夏、上野にある国立科学博物館では、「生命大躍進展」という特別展が開催されていました。科学博物館とNHKの共催で、特別番組が組まれたこともあり、会場に行かれた方も多いのではないでしょうか。
私と息子は、2回行きました。

1回目は、家内が仕事の時に行きました。どこか息子と出掛けるのに適切なところがないだろうか、と思って上野に行ったところ、ちょうどやっていたので、入ってみることにしたのです。要するに私の個人的な趣味ですね。
私は初めて目にするエディアカラ動物群の化石に魅入られていました。一方その時の息子はと言えば、ところどころに挟まれる3DCGばかりに見入っていました。派手に動くCGに比べて化石などは、その時の彼には、さぞつまらないものに思えたでしょう。知らないで見る化石は、単によくわからない模様の描いてある石ですからね。
父親たる私はあちこちの展示物をじっくり見ている一方、飽きてきた息子は早く行こうと急かす。こうなると、もはやどちらがどちらの付き添いなのかすら不分明です。

この会場の最後の方で、彼の心を強く捉えたものがありました。それがこのアプリです。

https://itunes.apple.com/jp/app/nhk-gu-daimonsuta-jin-hua/id983147020?mt=8&uo=4&at=10l8JW&ct=hatenablog

このアプリ、古生物を系統樹に従って進化させていく、というゲームです。ゲーム性としてはいわゆるポチポチゲーなので、大人から見ると面白さが今ひとつわからないのですが、当人にとっては面白いようで、未だに時々プレイしています。
実際にいた古生物がいろいろ出てくるので、自然と覚えていくことにもなりますし、簡単な図鑑機能があって、化石の写真を見ることもできます。これが彼の心を捉えました。
最初に気になったのは、ダンクルオステウス*1という魚でした。「生命大躍進展」で大きな復元模型が展示してあったのを覚えていたらしいのです。

こうなると興味関心の広がりも早く、さらには件の特番を見たり、「生命大躍進展」を再訪したりするなど関心が強まり、今では鉄道と並ぶ、いやそれ以上に、古生物学が、彼の興味関心を強く惹いています。
「生命大躍進展」の帰りには、ミュージアムショップで化石のセットをねだったり、将来の夢が「化石を掘る人」になっていたりしています。
ちなみに2週間くらい前には、「ガー目*2って白亜紀からほぼ姿が変わってないんだよ」という話をしたらそれが面白かったのか、しばらくその話をしていました。

というわけでまとめると

  1. アプリが思わぬ形で、思わぬ分野に子供の興味関心を拡げるきっかけになった事例を示しました。
  2. 子供にとってのアプリの面白さ、ツボ、といったものは、大人にはよく解らない、ということがわかりました。

というお話でした。

*1:cf. ダンクルオステウス - Wikipedia

*2:いわゆる「古代魚」の一種。cf. ガー目 - Wikipedia